【経営者・人事担当者向け】定着率改善に効果のある具体的な手段とは?

【前頁までのおさらい】

人材流出を防ぎ、定着率を向上させる事で企業の業績は改善します。

定着率の改善は、社員の「スキル」「生産性」「顧客満足度」「売上」の向上と「人件費」「研修費」「ロス」等のコスト削減に繋がります。

つまり、中小企業やサービス業の利益を創出するための『最も根本的な問題の解決方法とは定着率の改善】です。

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◆人が辞める本音=会社の優先課題◆

人材不足を解消しするには、人財の流出を防ぎ定着率を向上させる事が、中小企業にとって最善の手段です。
人財の流出、つまり離職率を下げるには、その退職の理由を知る事で対策を打つことができます。

退職理由「本音」の把握は出来ていますか?

では、ここで質問です。

・自社で辞めていく人材の退職理由は把握出来ていますか?
・その退職理由は本音ですか?それとも建前ですか?
・本当の退職理由を知った時、手は打てましたか?


退職者の本当の退職理由。
「辞めたいののですが…」と言われ、理由を冷静に聴く。
そのような経験は、経営者や人事担当者の方はたくさんの経験があると思います。

しかし、本音の部分を聴きだすのは至難の技です。
ある調査によると本音を伝えず退職をする人は全体の70%以上にもなると言われています!

離職理由の本音‐5選

「職場の人間関係」
「給与等の条件面」
「労働時間や労働環境などの条件」
「会社の安定性や将来性に不安がある」
「仕事の内容にやりがいを感じない」

出典
「令和3年雇用動向調査結果の概要
:転職入職者が前職を辞めた理由別割合」
(厚生労働省)

なぜ「本音」を言わないのか?

更に、もう一つ質問です。
退職を決めた時に一番最初に報告する人物は誰でしょう?

1位は、ご想像の通り直属の上司です。その割合は、なんと70%以上。
次いで、同僚や友人、社長です。
残念ながら人事担当者は「遠い存在」と言う事になります。
また、人事担当者側も建前の理由を「そんなもんか」と流してしまい、それ以上、深く立ち入らないパターンも多くあります。


ここでイメージをしてみましょう。

もう既に退職を決意した自分が上司に退職を報告するとき、本音を言うのかどうか…

当然、現場の上長としては退職を慰留する可能性が高いはずです。
と言う事は、部下は退職の了承を得やすい理由(建前の退職理由)を建前で報告しようという心理が働くわけです。

経営者や人事が把握している退職理由は、上司からの報告ですので当然、建前しか把握できない訳ですよね。

これでは、会社の本当の課題が見えないので、改善が進まないのも理解が出来ます。

◆離職を防ぐ対策は『コミュニケーションの強化』が効果的◆

1on1(個人面談)の実施


では、実際、どうしたら本音の部分を把握する事ができるのでしょうか?

答えは、実はシンプルです。

退職の決意に至る前に、悩みを聴き兆候を把握する。』
これに尽きます。

例えば
「職場の人間関係に悩んでいるAさん」
「自分が評価されていない事に納得がいってないBさん」
「上司のパワハラに悩んでいるC君」

実は、普段から友人には愚痴を言っているかもしれません。

これを普段から聴く事が出来れば、事前に対処する事が出来ます。



その手段として有効的なのが『1o1(個人面談)』です。

1on1(個人面談)で、業務以外のコミュニケーションを取り、悩みを聴きだす事を普段から定期的に実施。
社員の心の状態を把握する事が期待できる訳です。

この社員の心の状態を知る事は、目の前の業績に対しての即効性はありません。
しかし、会社の実情である事には変わりなく、この「見える化」が将来の会社の状態に直結する事は想像出来るはずです。

◆1on1(個人面談)の目的◆

まずは定着率改善に繋がる1on1(個人面談)の目的とは何でしょう。

≪1on1の目的≫
1.面談対象者のエンゲージメントを高める
2.心理的安全性を高めること
3.職場や仕事に対する本音を自然と話せること
4.自己成長への気づきを与える事
5.「明日から頑張ろう」とモチベーションを高めること

1on1は2016年頃から日本で注目されてきました。

元々は、頻繁にコミュニケーションを取る事で部下と上司との関係性を構築し、部下の心理的安全性、エンゲージメントを高める事が目的でした。 

ところが、この部下とのコミュニケーションにおいて、全ての上司が100%効果を発揮できる訳ではありません。

何故なら、1on1は、「ただ部下の話を聴けば良い」訳ではなく、「目的」を明確にし、相手の本音を聴き出すスキルが必要になってくるからです。

更に、近年の人材不足や生産性を突き詰めなければ経営出来ない環境下で管理職や人事担当者が、本来の目的を達成るするための面談ではなく、作業的な面談になってしまっているパターンもあるようです。

なので、企業や部署によっては「1on1面談不要論」とか「1on1面談効果ナシ論」が出ている事も否めません。

評価面談との違い

よくある質問ですですが「評価面談」と何が違うの?

簡単に言うと評価者面談は「評価のフィードバック」と「目標設定」の場です。
話の主体は「上司」です。上司がメインで話し、部下が自分の評価を理解、納得する場でもあります。

相手との関係性は『評価者>部下』という上下の関係
そのような場では、例え、他の話をしても良いと言われても本音の部分は出ずらいのではないでしょうか?

対して1on1(個人面談)は、部下の悩みを聴いたり、一緒にやりがいを探したり等が主な内容です。
話の主体は「部下」なのです。部下がメインで話し、主体性を引き出したり、悩みを聴いて心を軽くすする場でもあります。
関係性は『話を聴く人=話をする人』で対等です。面談者は、話を聴いたり話すというよりは、話を引き出す役柄です。
ヒアリングで社員の心の状態を引き出す事が期待できます。

つまり、『評価者面談』と『1on1(個人面談)』は、その目的や性格が全く違うものだと言えます。

1on1の活用方法

会社の優先課題とも言える社員の本音を改善する事が人材流出を劇的に止める!

【1on1を起点にした改善例】

◆対人関係が悪い→部署移動、コミュケーション研修や野外活動研修の実施等
◆評価されていない→評価制度の見直し
◆労働時間等の労働環境→時間外労働の見直しや待遇面でフォロー
◆給与待遇→評価制度の見直しや臨時賞与等
◆やりがい等→目標設定やスモールステップ法の導入


上記のように課題の的が分かっていれば、適切な改善に乗り出す事が出来ます。

この時に大事なのが、聴きっぱなしにしない。 

進捗を本人にフィードバックしてあげること。

一番良くなのが、面談で聴き出した本音をそのまま放置してしまう事です。

これでは、1on1を実施する意味がありません!

例えば、待遇改善や部署移動、人事評価制度の改変等、どうしても改善に時間がかかるものがありますね。

そういう課題に関しては、進捗状況を次の面談時に具体的にフィードバックしてあげると良いでしょう。

聴き出した本音を素に会社を改善、または改善に取り組んでいる姿勢を社員が感じる事で、会社に対するロイヤリティが上昇。

定着率の改善に繋がり、人材不足が解消されます。

◆まとめ◆

1on1(個人面談)は定着率改善のための初めの一歩

・退職者の本音を把握する事が会社の課題を抽出するために有効な手段。
・退職にまで至る前に社員の心の状態を把握するためには1on1(個人面談)が効果的。
・1on1と評価者面談は、その目的や性格が全く違うもの
・1on1で把握した会社の課題を改善していく事で定着率の改善に繋がる

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